倉敷市児島に旧野﨑家住宅があります。
児島はジーンズ好きの方ならよくご存じかも知れません。
日本産ジーンズ発祥の地としても知られる、「児島ジーンズ」の町です。
旧野﨑家住宅は平成18年に国の重要文化財に指定された建物で、
製塩業と新田開発で財をなした野﨑武左衛門がその気宇に合わせて天保から嘉永年間に次々と築いていった民家です。
敷地面積は3,000坪、建物延面積は1,000坪近くもあります。

敷地東側に長屋門と御成門を構え、野﨑家の中心となる表書院、奥に南北に建てられた主屋は中座敷から向座敷まで23間(42m)、9つの座敷が連続します。その母屋の北に7棟もの土蔵群が軒を連ねており、庭のあちこちに茶室が点在する「商人のお城」とも言われるほど壮観な建物です。思わずため息が出るほど素敵でした。

素晴らしいと思った事のひとつは、これだけ広大な敷地が整然と管理されていて、とても美しかったことです。
後で分かった事なのですが、この建物の所有は財団法人 竜王会館となっていて、のちの野﨑家が設立した会社「ナイカイ塩業」の方々が管理運営しているようです。
重要文化財でもごっそり修復されて、まるで新築のようにピカピカになってしまった建物を見ると少し残念な感じになりますが、
この建物はその都度手入れされて来たような、上手く言えませんがとても大切にされている感じがして、本当に素敵でした。
お庭を掃除している方の姿をあちらこちらで見かけると、まるで野﨑家のご当主がまだここに住まれて、日々暮らしているのではないかという、そんな雰囲気さえあります。

建物を見ながら敷地をぐるりと一周して入口へ戻ると、玄関先で掃き掃除をしながら延々と野﨑家の沿革を話している方が居ました。ナイカイ塩業の社員なのでしょうね。
話につられてお土産に「瀬戸のほんじお」を買ってしまいました。

倉敷といえば美観地区も良いですね、何度行っても飽きないところです。
でも少し南へ足を延ばして児島まで行ってみてください、旧野﨑家住宅は私のおススメの建物のひとつです。
【旧野﨑家住宅】 岡山県倉敷市児島味野1-11-19